信時潔 没後50周年記念演奏会
信時潔(1887~1965)は、1906(明治39)年~ 1915(大正4)年に東京音楽学校に学び、1923(大正12)年に東京音楽学校教授に就任、1931(昭和6)年の作曲科の創設に尽力した人物です。
彼の代表作《海道東征》は、1940(昭和15)年11 月20 日に東京音楽学校管絃楽部などによって旧奏楽堂で抜粋版の形で初演され、同26 日に日比谷公会堂にて全曲演奏されました。今回の演奏会では、75 年ぶりに全曲版での再演を東京藝大シンフォニーオーケストラと声楽科学生160名の合唱ほか、声楽科教員のソロによって行います。自筆譜に基づいたハープの使用は、初めての試みです。
この演奏はライブ録音され、ナクソス・レーベルによる「日本作曲家選輯」東京藝術大学編の第2弾として、CD化されることが決定いたしました。これは、3年前にリリースされた橋本國彦《交響曲第2番》に続くものです。《KINDER TRIO》(ピアノ・ヴァイオリン・チェロ)は、最近自筆によるパート譜が発見され、こちらは本邦初演となります。
演奏会当日は、奏楽堂ホワイエにて《海道東征》自筆楽譜の展示もいたしますので、信時潔の筆跡を間近にご覧ください。また、演奏会の冒頭に、音楽評論家で慶應義塾大学法学部教授の片山杜秀氏に信時潔と《海道東征》などについてのお話を伺います(聞き手:本学楽理科の大角欣矢教授)。
記念プロジェクトとして演奏会開催と同時期に、シンポジウムや東京藝術大学附属図書館での信時潔資料の展示会なども開催いたします。信時潔の遺した偉業を、今再び皆様に知っていただける機会となることを願っています。