ヘンシェル弦楽四重奏団を迎えて

~ドイツ正統派クァルテット~

主催:
東京藝術大学音楽学部 東京藝術大学演奏藝術センター
作成:
ARCHIVE CENTER

5.8 Sun 15:00

  • 東京藝術大学奏楽堂(大学構内)
  • 5.8 Sun 15:00 開始
  • 3,000円(全席自由)
  • Webサイト
ヘンシェル弦楽四重奏団を迎えて
ヴァイオリン:クリストフ・ヘンシェル ヴァイオリン:ダニエル・ベル ヴィオラ:モニカ・ヘンシェル チェロ:マティアス・バイヤー=カルツホイ ヴィオラ:渡部 咲耶 ピアノ:矢野 雄太
文部科学省国立大学機能強化事業 「国際共同プロジェクト」
~ドイツ正統派クァルテット~
ヘンシェル弦楽四重奏団を迎えて


 ヘンシェル弦楽四重奏団(以下、弦楽四重奏団=Q)との出会いは25年前に遡る。永年の夢であった澤クヮルテットのデビューを果たした1991年の夏、ロンドンで行われたアマデウスQのセミナーに参加した。優秀な若手弦楽四重奏団の中でも際立って若く、輝いていたのが、ミュンヘンから来たヘンシェルQだった。双子の兄弟が揃って1720年製のストラディヴァリウスのヴァイオリンを弾き、ヴィオラを担当する姉のモニカもグァルネリの名器を操り、しかも往年の名女優、イングリット・バーグマンの若き日を想わせる知性派美女であった。ヘンシェル姉弟の父親はシュトゥットガルト放送交響楽団の首席ヴィオラ奏者、母親はピアノとチェンバロ奏者として名を馳せ、彼らは子供の頃から、アマデウスQのメンバーや、指揮者のチェリビダッケが自宅に寝泊まりするという環境で育った。一方、1994年から参加したチェリスト、マティアス・バイヤー=カルツホイの祖父は、ヴィオラ奏者としてメロスQや、アマデウスQと共演するほか、モーツァルトの《レクイエム》の補筆者として知られるF.バイヤー(元ミュンヘン音楽演劇大学教授)で、いずれもサラブレッドの家系である。ヘンシェルQと私は澤クヮルテットとの共演や、私が第2ヴィオラで加わった演奏会などで、数々の共演を重ねて来たが、とくに2011年にマルクス・ヘンシェルに代わってダニエル・ベルがメンバーに加わったことで、ヘンシェルQはさらに音楽的なふくよかさが増したようだ。イギリスで生まれ、アメリカで教育を受け、ベルリン・フィルでの演奏キャリアを積んだダニエルの新しい血が、彼らにさらなる表現の幅を与えたのかもしれない。近年は、後進の指導や、子供たちのための演奏会などを通じて、彼らが巨匠たちから得た貴重な伝統を次世代に繋ぐことにも積極的で、今回の来日では、藝大生との共演や、室内楽のマスタークラスで、素晴らしいものを届けてくれるに違いない。生誕100年を迎えるヒナステラの弦楽四重奏曲の演奏も楽しみだ。

東京藝術大学音楽学部長・教授(ヴァイオリン) 澤 和樹 


曲目

W.A.モーツァルト(1756-1791)
《弦楽五重奏曲第3番》 ハ長調 K.515 *
Wolfgang Amadeus MOZART
Streichquintett Nr.3 C-Dur K.515

生誕100年
A.ヒナステラ(1916-1983)
《弦楽四重奏曲第1番》 作品20
Alberto GINASTERA
Cuarteto de cuerdas No.1 Op.20

R.シューマン(1810-1856)
《ピアノ五重奏曲》 変ホ長調 作品44 **
Robert SCHUMANN
Quintett für Pianoforte, zwei Violinen,
Viola und Violoncello Es-Dur Op.44


出演

ヘンシェル弦楽四重奏団 Henschel Quartett

ドイツ正統派の弦楽四重奏団。ロンドンの王立音楽カレッジに学んだ双子のヴァイオリン奏者、クリストフとマルクス、ヴィオラのモニカというヘンシェル家の姉弟は、1994年デンマーク王立音楽アカデミー出身のチェリスト、マティアス・バイヤー=カルツホイと弦楽四重奏団を結成、これが今日のヘンシェル弦楽四重奏団の出発点となった。ヘンシェル弦楽四重奏団は、ミュンヘン音楽演劇大学のF.バイヤー教授、アマデウス弦楽四重奏団、アルバン・ベルク四重奏団などの薫陶を受け、1995年エヴィアン国際弦楽四重奏コンクール、バンフ国際弦楽四重奏コンクール、ザルツブルクなどで5つの賞を受賞。1996年には大阪国際弦楽四重奏コンクール第1位を受賞した。以来、ドイツはもとより、英米圏でも演奏と教育活動を行う。レパートリーは古典から現代ものまで200曲以上、録音でも数多くの賞を受賞している。メンバーは病気で海外遠征が困難になったマルクスに代わって、2011年元ペーターゼン四重奏団メンバーでベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリン奏者であったダニエル・ベルを迎えた。第1ヴァイオリンはクリストフ・ヘンシェルとダニエル・ベルが曲ごとに交替する。


ヴィオラ:渡部 咲耶 Viola:Sakuya WATABE

東京藝術大学音楽学部器楽科ヴィオラ専攻を経て、4月より同大学院修士課程1年。これまでにヴァイオリンを西川重三氏、小林すぎ野氏、久保良治氏に、ヴィオラを市坪俊彦氏に師事。今井信子氏によるマスタークラス、リゾナーレ室内楽セミナーなどに参加。2015年ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール第3位受賞。


ピアノ:矢野 雄太 Piano:Yuta YANO

東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学音楽学部器楽科ピアノ専攻を経て、4月より同大学院修士課程2年。2014年第リナサラガッロ国際ピアノ・コンクールでバッハ賞受賞。2015年アントニオ・ナポリターノ国際ピアノ・コンクール第1位ほか受賞。これまでに角野裕、黒田亜樹、藤井一興、ブルーノ・カニーノの各氏に師事。


※ スケジュール・曲目・出演者等は都合により変更となる場合がありますので、ご了承ください。